自宅で親の介護をするための準備と条件【完全ガイド】

1. 介護を始める前に確認すべきこと

① 親の健康状態と必要な介護レベルの把握

まず、親がどの程度の介護を必要としているのかを把握することが大切です。

• • 要介護認定を受ける（市区町村の役所や地域包括支援センターに相談）

要介護認定は、介護保険サービスを利用するために欠かせない第一歩です。
認定を受けなければ、訪問介護やデイサービスなど、必要な支援を受けることができません。
市区町村（自治体）が申請を受け付け、親の介護の必要度を審査した上で、「要支援」や「要介護」の度合いを判定します。
しかし、申請から認定結果が出るまでには時間がかかるため、介護が必要だと感じた時点で早めに申請をすることが非常に重要です。
介護サービスを適切に利用するためには、認定を受けることが最初のステップとなり、申請を先延ばしにすると後で困ることになります。
介護が必要になった時にスムーズにサービスを利用できるよう、できるだけ早く申請手続きを始めましょう。

★介護認定の申請フロー（準備〜認定まで）★

【STEP 1】現状の確認・情報収集（準備段階）

• • 親の体調や生活の様子を観察（転倒、物忘れ、排せつのトラブルなど）
• • 地域包括支援センターなどに相談して情報収集
• • 主治医の確認（定期的に通院しているか）

【STEP 2】申請手続き（役所に申請）

• • 市区町村の「介護保険課」などの窓口へ申請
• • 家族やケアマネジャーによる代理申請もOK
• • 提出書類：
  　介護保険被保険者証
  　申請書（役所のHPからもダウンロード可能）
  　健康保険証（40〜64歳の第2号被保険者のみ）

【STEP 3】訪問調査（認定調査）

• • 調査員が本人の元へ訪問（自宅・施設など）
• • 74項目の聞き取り・観察調査（身体機能・認知・生活状況など）
• • 家族も同席し、状況を説明できるとスムーズ

【STEP 4】主治医意見書の作成

• • 申請後、役所が主治医に意見書の作成を依頼
• • 内容：病歴、診断名、認知症の有無、日常生活への影響など
• • 本人がかかっている病院・医師の情報を申請時に伝える

【STEP 5】介護認定審査会

• • 医師・看護師・福祉関係者で構成された審査会が
  → 調査結果と意見書をもとに審査
• • 一次判定（コンピューター判定）と二次判定（審査会）

【STEP 6】認定結果の通知

申請から約30日以内に認定結果が届く

• ・判定区分：
  　非該当（自立）
  　要支援1・2
  　要介護1～5

【STEP 7】ケアプラン作成＆サービス利用開始

• • 要支援 → 地域包括支援センターに相談
• • 要介護 → ケアマネジャーと契約してケアプラン作成
• • 必要なサービス（デイサービス、訪問介護など）の利用開始

• • 医師やケアマネージャーと相談し、必要な支援を確認
• • 認知症や持病の有無をチェックし、対応策を考える

認知症は、介護が必要になる主な原因のひとつであり、要介護認定を受ける高齢者の多くが認知症を抱えています。
認知症の進行によって、日常生活に支障をきたし、家族の負担も大きくなるため、早めの対策や適切な介護方法を知っておくことが大切です。

② 介護を行う環境の整備

自宅での介護をスムーズに行うためには、親が安全に生活できる環境を整えることが重要です。
家の中に転倒や事故のリスクを減らし、介護者の負担を軽くする工夫を取り入れることで、より快適な介護が可能になります。
自宅が介護に適した環境かどうかを確認し、必要ならリフォームや福祉用具を導入しましょう。

• • 手すりの設置、段差解消（転倒防止のため）
• • トイレ・浴室のバリアフリー化（自力での移動を助ける）
• • 介護ベッドや車椅子の導入（要介護度によって必要）
• • 見守りカメラの設置（一人での外出や夜間の見守りが必要な場合）

③ 家族・親族との話し合い

介護は一人で抱え込むと大きな負担になります。
兄弟姉妹や親戚と協力できるか話し合いましょう。

• • 介護分担を決める（誰が何を担当するのか明確にする）
• • 金銭面の負担について相談（介護費用や生活費の分担）
• • 介護サービスの利用について共通理解を持つ

2. 介護に必要な準備と条件

① 介護保険制度を活用する

介護保険制度は、高齢者や要介護者が介護サービスを受けるための公的な制度です。
介護が必要になったときに、自己負担を軽減しながら適切な介護サービスを利用できるようにすることが目的です。
下記サービス（一部）が介護サービスになります。

• 訪問介護（ホームヘルパー）：入浴・食事・掃除などのサポート
• デイサービス：日中に施設で過ごし、リハビリやレクリエーションを受け、自宅での入浴が難しい場合などの入浴介助などを受ける。
• ショートステイ：一時的に施設にお世話になり、日常生活のサポートを受ける。
• 福祉用具貸与：車椅子、介護ベッド、歩行器、手すりなどを、一定期間借りるサービス。

要介護認定を受けないと介護保険サービスを利用できませんので、申請は早めに行うことが重要です。
介護認定には、面接や訪問調査などの手続きがあり、結果が出るまでに時間がかかることがあります。
また、介護保険が適用されるサービスと適用外のサービスがあるため、サービスを受ける前に、どのサービスが保険適用になるか、またその条件を事前に確認しておくことが大切です。

② 介護に必要なスキルを身につける

介護は知識や技術があると負担が軽減されます。　

• ・ 介護講座やセミナーに参加する（市区町村や地域包括支援センターが無料で実施）
• ・ 看護師やケアマネージャーから指導を受ける（適切な介護方法を学ぶ）
• ・ 介護者向けのオンライン講座を活用する（YouTubeや厚生労働省のサイトなど）

③ 仕事と介護の両立を考える

介護は知識や技術があると負担が軽減されます。　

• ・ 介護休業制度を利用する（最長93日間の休業が可能）

介護休業制度とは、家族の介護は必要になったときに、一定期間休職できる制度です。
厚生労働省が定める「育児・介護休業法」に基づく制度で、休業中は一定の条件を満たせば「介護休業給付金」を受け取ることもできます。
退職せずに介護ができることや、分割取得ができるため柔軟に対応できる点など、メリットもある一方、会社によっては周囲との調整が必要であったり、93日を超える長期の介護には対応できないなどの注意点もあります。

• ・ 時短勤務や在宅勤務ができるか会社と相談する
• ・ 介護離職を避けるための計画を立てる（介護サービスの活用）